映画「ブラッド・ダイヤモンド」

 

10年以上前の作品だが、アマゾンプライムで評価が高かったため視聴。

ハリウッドならではのエンタメ性を維持しつつ、社会問題を提起した傑作だった。

 

  • あらすじ

アフリカのシエラレオネ共和国で、3人の男女が運命的な出逢いを果たす。元傭兵のダイヤ密売人アーチャー(ディカプリオ)、反政府軍RUFの襲撃によって家族と引き裂かれたソロモン(フンスー)、そして、紛争ダイヤモンドの真実を暴こうとするジャーナリストのマディー(コネリー)。すべてはソロモンが闇ダイヤの採掘場で大粒のピンク・ダイヤを発見することから始まる。ひとりはそのダイヤの利益で救いのない暗黒大陸から抜け出そうとし、ひとりは引き裂かれた家族を取り戻そうとし、ひとりは真実を記事にするための動かぬ“証拠”を求める。

アフリカ地域紛争で武器調達の資金源として不法取引される“ブラッド・ダイヤモンド”。そのひとつのダイヤに託された、全く異なる3つの願い。アフリカが現在もなお抱える問題を絶大なリアリティで力強く描き、物語は感動的なラストへと向かっていく―。 

 

  • 世界のダイヤモンドの一定割合は不正取引されたもの。劇中では、反政府軍の武装資金として流れている。

劇中で主人公はダイヤモンドの不正取引の一端を担う。

すべてのダイヤモンドが不正に輸出されているわけではないが、先進国の平和や贅沢の裏には、弱い人々の犠牲が付きまとっている。

指輪に対する見方、宝石に対する見方が変わる。

 

  • 大人は殺されるかダイヤモンド採掘の強制労働に。子どもは再教育され少年兵に。

 劇中では刺激的なシーンが続く。静かな村に突然、反政府軍RUFがやってくる。彼らは銃を抱えた大量の兵士を戦車に乗せて村を襲撃し、村民を次々と銃殺していく。

かろうじて生き残った者も捕らえられる。労働に使えそうな大人は採掘場に向かわせ、使ええない大人は腕を切り落とす。

子どもには再教育を施し、兵士として育てる。任務を与え、役職を与え、家族を失った彼らに居場所を作る。

いつも犠牲になるのは弱いものであり、子ども達である。 

 

  • なぜ争いは起きるのか。どのようにして不正業者は利益を得ているのか。温床は。

 反政府軍は紛争資金獲得のために高価なダイヤモンドの採掘を続ける。しかしまともには売買できない。

それらを狙い、先進国の売買業者が取引を持ち掛ける。代償として、武器や資金の提供を持ち掛け、内戦はますます混迷を極める。

 不正業者の利益の温床は、血が流れたダイヤモンド。誰も取引したがらないものを引き受ける。その裏で強いられる犠牲から目を背ける。紛争資金を獲得したい反政府軍とはwin-winである。

 

  • まとめ エンタメ性と問題提起を両立した傑作

派手な銃撃シーンや空襲・爆発などはハリウッドならではの豪快さであり、飽きさせない。血なまぐさいシーンが続くため、苦手な人には向かないだろう。

主演のブラピはこういった裏の顔を持つ役が非常によく似合う。タイタニックでのピュアな青年像は忘れた方が、純粋に彼の演技を見られる。

社会問題の提起としても、より知りたいを思わせてくれる。自分の周りであふれているダイヤモンドについて考えを巡らせ、複雑な思いになる。